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2025.12.05

住宅ローン減税とハザードエリア|適用外検討と安全な家づくりの考え方

公開日:2025.12.05/最終更新日:2025.12.05

2025年12月3日の報道で、政府・与党が「災害の危険性が極めて高い区域」の住宅を住宅ローン減税の対象から外す方向で検討していることが伝えられました。
「これから家を建てたいけれど、ハザードマップで色がついているエリアも候補に入っている」「ニュースを見て不安になった」という方も多いのではないでしょうか。

本記事では、報道ベースでわかっている範囲の内容を整理しながら、ハザードエリアと住宅ローン減税の関係、そして
所沢・川越・狭山エリアでこれから家づくりを進めるとき、どのような点に気をつければよいのかを、できるだけわかりやすく解説します。
2025年12月時点の情報に基づく内容であり、最終的な制度の詳細は今後公表される税制改正大綱や関係省庁の公式情報をご確認ください。

住宅ローン減税とハザードマップを確認しながら家づくりを話し合う夫婦

ニュースをきっかけに、立地の安全性と家計のバランスを話し合うご夫婦のイメージです。

今回のニュースのポイントをかんたんに整理

まずは、報道内容から読み取れるポイントを整理しておきます。

住宅ローン減税の「適用外」と検討されているエリア

報道によると、適用外とする案の対象として想定されているのは、いわゆる「レッドゾーン」と呼ばれる危険度の高い区域の一部です。具体的には、次のようなエリアが議論の俎上に載っています。

  • 災害危険区域(出水など、大きな被害が想定される区域)
  • 土砂災害特別警戒区域
  • 浸水被害防止区域  など

これらは法律に基づき都道府県や市町村が指定するエリアで、「大規模な土砂崩れや浸水のおそれが高く、居住に大きなリスクがある場所」という位置付けです。
すべてのハザードマップの色付きエリアが一律で対象になるわけではなく、その中でも特に危険度が高い区域が軸になっている点が重要です。

なぜ今、ハザードエリアを住宅ローン減税の対象外に?

背景には、近年相次ぐ大雨・台風・地震などにより、災害リスクの高い場所に家を建てること自体を抑制したいという考えがあります。
すでに固定資産税の減額措置では、災害レッドゾーン内で、行政の勧告に従わずに建てられた一定の住宅が対象外とされる仕組みが導入されています。
住宅ローン減税でも同じ方向性を取り入れ、危険区域での新規住宅建設を抑えようという流れです。

また、今回の見直しは中古住宅向けの支援拡充や床面積要件の緩和などとセットで議論されており、
「どこで、どのような性能の住宅を選ぶか」によって、税制面でのメリット・デメリットが今まで以上に分かれていく可能性があります。

そもそも住宅ローン減税とは?しくみをおさらい

ニュースを正しく理解するためにも、あらためて住宅ローン減税の基本的なしくみを整理しておきましょう。

年末ローン残高に一定の割合をかけて所得税・住民税から控除

住宅ローン減税は、年末時点の住宅ローン残高に一定の割合(控除率)を掛けた金額を、定められた年数のあいだ、所得税や住民税から差し引く制度です。
新築・中古、長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅など住宅の性能によって、借入限度額や控除期間が変わる仕組みになっています。

控除額はあくまで「支払う税額が上限」となるため、計算上の控除額すべてを利用できるとは限りませんが、
新築・注文住宅で何千万円というローンを組むご家庭にとっては、総額で数百万円規模の減税効果になるケースも少なくありません。

これまで立地条件は問われてこなかった

これまでの住宅ローン減税では、「床面積や所得、住宅性能、入居時期」などの条件は細かく定められている一方で、
ハザードエリアかどうかという「立地条件」は、直接の適用要件には含まれていませんでした。

そのため、極端に言えば「災害リスクの高いレッドゾーンの新築」と「比較的安全なエリアの新築」とで、住宅ローン減税の有無は同じでした。
今回検討されている見直しは、この点を見直し、危険性が非常に高いエリアの新築については、減税というインセンティブをつけない方向に変えていこうというものです。

ハザードマップを見ながら住宅ローンや土地選びの相談をする様子

土地選びの段階で、ハザードマップと住宅ローンの条件を一緒に確認しておくと安心です。

ハザードエリア・災害危険区域とはどんな場所?

「ハザードエリア」「災害危険区域」と聞くと、「その地域全体が危険」と感じてしまいがちですが、実際にはさまざまな種類・レベルがあります。

法律に基づき指定される「レッドゾーン」

国や自治体は、過去の災害履歴や地形・地質の調査をもとに、次のような区域を指定しています。

  • 災害危険区域(出水・高潮などによる著しい危険が想定される区域)
  • 土砂災害特別警戒区域(がけ崩れ・土石流・地すべりで建物が損壊しうる区域)
  • 急傾斜地崩壊危険区域
  • 浸水被害防止区域(想定最大規模の洪水で深い浸水が想定される区域)

これらを総称して「災害レッドゾーン」と呼ぶこともあり、建築に特別な制限がかかる場合や、行政から勧告が行われる場合もあります。
つまり、ニュースで言われている「住宅ローン減税の適用外」となる可能性があるのは、こうした最もリスクが高いゾーンの一部だと考えられます。

色がついている=すべてNGではない

一方で、洪水・土砂災害のハザードマップには、「浸水深◯m」「土砂災害警戒区域」など、危険度の違いを色分けして表示しているケースがほとんどです。
ハザードマップで色がついているからといって、そのエリア全体が家づくりに不向きというわけではありません。

大切なのは、どの程度の頻度・規模の災害が想定されているのか
そして建物の構造・高さ・避難経路などでどこまでリスクを下げられるのかを冷静に見ていくことです。

※お住まいの地域のハザード情報は、国土交通省「ハザードマップポータルサイト」などで確認できます。

すでに固定資産税では「レッドゾーンの一部は減税対象外」に

実は、「危険なエリアでは税の優遇を適用しない」という考え方は、すでに一部の制度で導入されています。

新築住宅の固定資産税減額措置の見直し

新築住宅には、一定期間、固定資産税を2分の1に減額する特例がありますが、
令和4年度の税制改正で、次のような住宅は減額措置の対象外とされました。

  • 立地適正化計画の区域内かつ居住誘導区域外かつ災害レッドゾーン内にある
  • 3戸以上、または1〜2戸でも敷地が1,000㎡以上の規模の開発行為で新築された住宅
  • 市町村長から「適切な立地を促すための勧告」を受けている
  • その勧告に従わず建設され、従わなかったことが公表されている

条件を見ると分かるように、かなり限定されたケースではありますが、
「危険なエリアで、行政の勧告も無視してまで住宅を建てた場合には、減税は適用しない」というメッセージが込められています。

今回の住宅ローン減税の見直し検討も、こうした流れと足並みをそろえつつ、
より生活者に身近な減税制度にも「立地の安全性」という視点を取り入れようとしていると理解すると分かりやすいでしょう。

河川の近くに広がる住宅街とハザードエリアのイメージ

同じエリア内でも、災害リスクやハザード区分は細かく分かれています。土地ごとに丁寧な確認が必要です。

適用外になると何が変わる?家計インパクトの目安

「もし自分が検討している土地が対象になったら、どれくらい違いが出るの?」という疑問も多いと思います。
ここでは、あくまでイメージとして、単純な計算例をご紹介します。

シンプルなイメージ計算

たとえば、4,000万円の住宅ローンを組み、控除率0.7%、控除期間13年と仮定すると、
計算上の最大控除額はおおよそ以下のようなイメージになります(実際には毎年の残高は減るため、もっと小さくなります)。

  • 1年目の控除額の目安:4,000万円 × 0.7% = 約28万円
  • 数年分を合計すると、トータルで数百万円規模になるケースも

実際には、年ごとのローン残高や所得税・住民税の金額によって控除額は変わりますが、
「適用がある/ない」で長期的な家計に大きな差が出る可能性があることは、イメージしていただけるのではないでしょうか。

※具体的な控除額は個々の収入・借入額・住宅性能・入居時期によって異なります。詳細な試算は、税理士や金融機関・ファイナンシャルプランナーなど専門家へのご相談をおすすめします。

これから家づくりをする人が今からできること

制度の詳細はまだ検討段階ですが、「立地の安全性」と「税制優遇」をセットで考える時代に向かっているのは間違いありません。
これから土地探し・家づくりを始める方に向けて、今からできることを整理してみましょう。

1. 候補地ごとにハザードマップを確認する

まずは、候補地がどのようなハザード情報に該当するのかを、必ず確認しましょう。

  • 洪水ハザードマップ(浸水深・浸水想定)
  • 土砂災害警戒区域・特別警戒区域
  • 高潮・津波・内水氾濫 など、地域に応じたリスク

特に、土砂災害特別警戒区域や災害危険区域などの「レッドゾーン」に該当していないかは、今後ますます重要なチェックポイントになります。

2. 「税制上のメリット」と「リスク低減コスト」を比較する

仮に、ある候補地がレッドゾーンに近い場所であった場合、次のような視点で比較してみることも大切です。

  • 少し安全なエリアに移動すると土地価格はどう変わるか
  • リスクの高いエリアで、地盤改良や構造強化・床上げ・防水対策などを行うと、追加コストはいくらかかるか
  • 住宅ローン減税や他の補助金・税制優遇の有無によって、トータルの支出がどう変わるか

「今の土地が一番安いから」と決めてしまう前に、長期的なコストと安全性のバランスを冷静に見比べることが、後悔のない家づくりにつながります。

3. 建物の性能やプランでできる「備え」もセットで考える

立地を変えることが難しい場合でも、建物側でできる備えがあります。例としては、次のようなものが挙げられます。

  • 1階の床レベルを高くする、重要な設備を2階に設置する
  • 耐震等級や構造計算により、地震に強い構造にする
  • 停電時に備えた太陽光発電+蓄電池を検討する
  • 避難経路・避難階段・バルコニーなどをプラン段階で考慮する

アップルホームでは、地元エリアの地形・地盤特性をふまえたプラン提案や、災害時の備えを見据えた設備計画も含めてご相談を承っています。
「この土地で建てるなら、どんな備え方ができるのか?」という視点で一緒に検討していきましょう。

みらいエコ住宅2026事業など他の支援策との関係

住宅ローン減税の見直しと並行して、省エネ・脱炭素を進めるための補助金制度も拡充が検討されています。
その一つが「みらいエコ住宅2026(GX志向型住宅・ZEH等)」のような、高い省エネ性を持つ住宅への支援です。

単に「減税が受けられるかどうか」だけでなく、
・災害リスクの低い立地 ・省エネ性能の高い建物 ・長期的な光熱費とランニングコスト
これらをトータルで見て最適な選択をしていくことが、これからの家づくりではますます重要になります。

「みらいエコ住宅2026事業」については、別記事で詳しく解説していますので、制度の全体像を知りたい方はぜひこちらもご覧ください。

みらいエコ住宅2026事業の詳しい解説はこちら

よくある質問(Q&A)

ハザードエリアに建てると、住宅ローン減税はすべて受けられなくなりますか?
現時点(2025年12月)では、「災害危険区域や土砂災害特別警戒区域など、危険性が極めて高い区域の一部を対象外にする」方向で検討されている段階です。
すべてのハザードマップの色付きエリアが一律に対象外になるわけではなく、最終的な線引きは今後の税制改正大綱や法令で明らかになります。
すでにハザードエリア内の家で住宅ローン減税を受けている場合はどうなりますか?
報道ベースでは、「これから取得する住宅」を前提にした議論が中心です。
既に入居済みの住宅について、さかのぼって住宅ローン減税が打ち切られるといった内容は示されていませんが、
制度の最終案が出た段階で、必ず最新の公式情報を確認するようにしましょう。
ハザードマップで色がついている場所は、家づくりに向いていないのでしょうか?
ハザードマップは「どのような災害が、どの程度想定されるか」を示す地図であり、色がついている=必ず建ててはいけないという意味ではありません。
ただし、レッドゾーンなどリスクの高い区域では、建築規制や税制優遇の有無なども含めて慎重な判断が必要です。
土地の条件・建物の構造・避難計画を総合的に検討しながら、専門家と一緒に判断することをおすすめします。

アップルホームの関連ページで、さらに詳しく家づくりを検討

制度の動きを踏まえつつ、具体的な家づくりの進め方や、資金・土地の相談をしたいという方は、以下のページもぜひご覧ください。

注文住宅の流れを詳しく見る
資金・土地相談会などイベント情報

アップルホームでは、自然素材×高性能の家づくりをベースに、
ハザードマップや地盤調査の結果も踏まえた土地選び・プラン提案・資金計画をワンストップでサポートしています。
「このニュースをきっかけに、立地や資金計画を一度整理し直したい」という方も、お気軽にご相談ください。

まとめ|立地の安全性と制度の動きをセットでチェック

住宅ローン減税とハザードエリアの関係は、これからの家づくりにとって無視できないテーマになりつつあります。
ただし、ニュースの見出しだけを見て不安になるのではなく、次のポイントを押さえて冷静に判断することが大切です。

  • 対象となりうるのは、災害危険区域や土砂災害特別警戒区域など「レッドゾーン」の一部であること
  • 制度はまだ検討段階であり、最終的な線引きは今後の税制改正大綱で示されること
  • 固定資産税減額措置など、既に一部の制度ではレッドゾーンが対象外となっている流れがあること
  • 土地の安全性・建物性能・税制優遇・光熱費などをトータルで見て判断すること

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