2025.11.20
ヒートショック対策の家づくり|断熱性で家族の健康を守るには
冬の夜、暖かいリビングから一歩出ると、ひんやりした廊下や脱衣所に「うっ」と肩をすくめてしまうことはありませんか。こうした家の中の急な温度差が原因で、血圧が大きく上下し、体に負担がかかる現象が「ヒートショック」です。高齢者の問題という印象が強いですが、実は子どもや働き盛りの世代でも、条件がそろうとリスクはゼロではありません。
とくに注文住宅を検討している方にとって、ヒートショック対策は「入浴の仕方」だけでなく家づくりと断熱性の考え方とも深く結びついています。この記事では、ヒートショックの基礎知識から日常でできる対策、そしてアップルホームの注文住宅でどのような工夫ができるのかを、建築と暮らしの両方の視点からやさしく解説します。

断熱性を高めることでリビングと水まわりの温度差を小さくできます
※この記事は住まい・建築の観点からヒートショック対策を説明するものであり、医療行為や診断を目的としたものではありません。具体的な症状がある場合は、必ず医師や専門機関にご相談ください。
ヒートショックとは?家の中の「温度差」で起こる体の負担
ヒートショックの仕組みと起こりやすい場所
ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い場所へ移動したり、冷えた体のまま熱いお湯につかったりしたときに血圧が急激に上下することで体に強い負担がかかる現象を指します。寒さを感じると、体温を守るために血管がきゅっと縮み血圧が上昇し、その後あたたまると血管が一気に広がり血圧が低下します。この「上がったり下がったり」を短時間で繰り返すことが心臓や血管の負担になるのです。
家の中で要注意なのは、冬場の脱衣所・浴室・トイレ・玄関・廊下など。暖房のきいたリビングと比べて温度が低くなりやすく、なおかつ衣類の着脱で体が露出しやすい場所です。リビングが20℃前後でも、浴室や脱衣所が一桁台まで冷え込む住まいでは、移動のたびに体が大きなストレスを受けてしまいます。

暖房のない脱衣所や浴室は、家の中でも温度差が大きくなりやすい場所です
どんな人がヒートショックを起こしやすい?
ヒートショックは高齢者や高血圧の方、動脈硬化・心疾患などの持病がある方でリスクが高いとされています。一方で、若い世代でも
- 熱いお湯が好きで42℃以上の高温で長湯をする
- 飲酒後や夜遅い時間に入浴することが多い
- 普段からあまり水分をとらない
といった生活習慣が重なると、めまいや立ちくらみ、失神などの症状につながるおそれがあります。
また、住まいの条件も大切です。築年数が古くて断熱性が低い家や、浴室・脱衣所・トイレに暖房がない家では、どうしても部屋ごとの温度差が大きくなりやすく、ヒートショックのリスクが高まります。
ヒートショックが疑われる症状と対処の基本
入浴中や浴室・脱衣所で、次のような症状が出た場合は注意が必要です。
- 急なめまい・立ちくらみ・ふらつき
- 動悸や息切れ、胸の痛み
- 頭痛・吐き気・手足のしびれ
軽い症状でも、無理に立ち上がらず、浴槽の栓を抜いてお湯を減らしながら、ゆっくりと姿勢を低く保つことが大切です。症状が強い場合や、ろれつが回らない・片側の手足が動かしづらいなどの異常があれば、迷わず周囲に助けを求め、救急要請を検討しましょう。
家族が浴槽で倒れているのを見つけた場合は、まず溺水を防ぐためにお湯を抜き、顔を水面から出した状態を確保しつつ、すぐに119番通報することが重要です。
今日からできるヒートショック対策|暮らし方の工夫
入浴前後の時間帯・水分補給・お湯の温度
ヒートショックを防ぐために、日々の入浴のしかたを少し見直してみましょう。
- 入浴はできるだけ夕方〜夜の早い時間帯に済ませる
- 食後すぐ・飲酒直後・体調不良時の入浴は避ける
- 入浴前後にコップ1杯程度の水分補給をする
- お湯はおおむね40℃前後を目安に、長湯しすぎない
熱めのお湯で一気に温まりたい気持ちもありますが、体への負担を考えると「ぬるめのお湯に少し長め」が理想的です。浴槽につかる前には、手足など心臓から遠いところからかけ湯を行い、体をならしてから入るようにしましょう。

入浴前後のこまめな水分補給もヒートショック対策の一つです
脱衣所・浴室・トイレの簡単あたため術
ヒートショック対策の基本は「家の中の温度差を小さくする」ことです。大がかりな工事をしなくても、次のような工夫で負担を減らせます。
- 入浴の10〜15分前から、脱衣所のファンヒーターやパネルヒーターで予熱する(転倒・衣類への接触に注意)
- 浴室のシャワーを高い位置から数分間出し、浴室全体を温めてから入る
- 窓からの冷気が強い場合は、断熱シートや厚手のカーテンで冷気をやわらげる
- トイレや廊下にも、可能な範囲で小型暖房やスリッパ・マットを用意する
とくに、暖房の効いたリビングから脱衣所・浴室に移動する際の温度差をできるだけ小さくすることが大切です。「いつもより寒い」と感じる日は無理をせず、予熱をしっかりしてから入浴するようにしましょう。
家族みんなでできる「見守り」と声かけ
設備だけでなく、家族のコミュニケーションもヒートショック対策の一つです。
- 高齢の家族が入浴する前に「今からお風呂に入るね」と一言声をかけてもらう
- いつもより入浴が長いと感じたら、軽く声をかけて様子を見る
- 一人暮らしの親世帯には、防水スマホや呼び出しボタン付き給湯リモコンの活用を検討する
小さな習慣の積み重ねで、「もしもの時の早期発見」につながります。暮らし方の工夫とあわせて、住まいの性能を高める家づくりを考えていくとより安心です。
ヒートショックを減らす家づくり|断熱性と間取りの考え方
なぜ「断熱性」がヒートショック対策に効くのか
ヒートショックの一番の原因は、家の中の「寒暖差」です。そこで重要になるのが建物そのものの断熱性と気密性です。断熱材や窓・玄関の性能を高めることで、外の冷気の影響を受けにくくなり、暖房している部屋だけでなく廊下や水まわりの温度も底上げしやすくなります。
日本では、住宅の断熱性能を示す基準として「断熱等性能等級」や「UA値(外皮平均熱貫流率)」が使われます。数値の見方さえ押さえておけば、プランの打ち合わせ時に「どのくらい温度差が少ない家なのか」をイメージしやすくなります。新築検討時には、できるだけ高い断熱等級を目標にしつつ、予算やランニングコストとのバランスを考えることが大切です。

壁の断熱材や高性能窓が、家全体の温度差を小さくするポイントです
窓・玄関・水まわりの位置で変わる体感温度
断熱性を高めるうえで、窓や玄関の配置・性能も見逃せません。ガラス面は外気の影響を受けやすく、冬は「冷気の入口」になりがちです。断熱性の高い窓や玄関ドアを採用しつつ、脱衣所や浴室に大きな窓を設ける場合は、内窓や断熱パネルの併用も検討すると良いでしょう。
また、間取り計画では
- LDKと洗面脱衣室・浴室をできるだけ近くに配置する
- リビングから脱衣所までの動線上に、寒い廊下や吹き抜けを挟みすぎない
- 寝室とトイレの距離を短くし、夜間の移動をできるだけ楽にする
といった工夫も、温度差を感じにくい家づくりにつながります。図面だけを見ていると気づきにくい部分なので、「冬の夜にこの動線をたどったらどう感じるか」をイメージしながら打ち合わせを進めるのがおすすめです。
全館空調や床暖房の活用で「温度のバリアフリー」を目指す
断熱・気密性能がしっかり確保されたうえで、さらに全館空調や床暖房を組み合わせると、家全体の温度ムラを一段と小さくできます。リビングだけでなく、廊下や洗面室・トイレまで一定の温度に保ちやすくなり、ヒートショック対策としても有効です。
ただし設備にはイニシャルコスト・ランニングコストがかかるため、「どこまでを設備で、どこまでを断熱性でカバーするか」をトータルで考えることが大切です。断熱性が低いまま設備だけ増やすと光熱費がかさみますが、性能と設備のバランスが取れた家は、快適性と省エネ性を両立しやすくなります。
アップルホームの注文住宅でできるヒートショック対策
自然素材 × 高断熱・高気密で一年中快適な温度環境を
アップルホームの注文住宅では、自然素材を活かしながら高断熱・高気密の性能にもこだわった家づくりを行っています。断熱性能の高い仕様を選ぶことで、冬でも廊下や洗面室の底冷えを抑え、室内の温度差を小さくしやすくなります。
お客さまのライフスタイルに合わせて、全館空調や個別エアコン+断熱仕様など、複数のパターンからご提案が可能です。「光熱費を抑えながらヒートショックの不安を少なくしたい」といったご相談も、設計段階から一緒に検討していきます。

自然素材と高断熱・高気密を両立したアップルホームのモデルハウスLDK
水まわり配置と動線計画で「寒い場所」をつくらない
アップルホームでは、ヒートショック対策の観点から水まわりの位置と動線計画にも配慮しています。たとえば、
- LDKの近くに洗面脱衣室・浴室をまとめ、寒くなりがちな廊下を減らす
- 脱衣所とトイレを近接させ、夜間の移動距離を短くする
- 窓の配置や大きさを工夫し、冷気の影響を受けにくい水まわり空間をつくる
といった工夫により、「暖かい場所から急に寒い場所へ移動する」シーンを可能な限り減らす設計を大切にしています。
将来のリフォームも見すえた提案で長く安心できる住まいに
若いうちはあまり気にならなくても、年齢を重ねるほどヒートショックのリスクは高まります。アップルホームでは、新築時点での快適性はもちろん、将来必要になりそうな断熱リフォームや設備追加も見すえたご提案を行っています。
たとえば、後から浴室暖房乾燥機を追加しやすい電源計画にしておく、脱衣所の窓まわりは内窓リフォームがしやすいサイズ・形状にしておくなど、将来の選択肢を広げる工夫も可能です。長く住み続けるからこそ、「今」と「これから」の両方を視野に入れた家づくりが安心につながります。
ヒートショック対策も含めて、断熱性の高い注文住宅にご興味のある方は、ぜひ一度詳細ページもご覧ください。

断熱性と暖房計画に配慮した浴室・脱衣所の一例です
ヒートショックと家づくりのQ&A
- Q1. ヒートショックは若い世代や子どもにも起こりますか?
- A. 主なリスクは高齢者や持病のある方ですが、若い方でも強い温度差・飲酒後・疲労時などにはめまいや立ちくらみが起こる可能性があります。年齢にかかわらず、家の温度差を小さくし、無理のない入浴習慣を心がけることが大切です。
- Q2. 脱衣所や浴室はどのくらいの室温を目安にすると良いですか?
- A. 暖房したリビングと比べて5℃以内の温度差に収まるようにするのが一つの目安です。具体的には、リビングが20℃前後の場合、脱衣所や浴室は15〜18℃程度を目標に、予熱や暖房器具を活用すると安心です。
- Q3. 断熱性の高い家にすると、光熱費はどう変わりますか?
- A. 地域や住まい方によって差はありますが、断熱性・気密性が高い家は、室温が下がりにくいため、冷暖房の稼働時間や設定温度を抑えやすくなります。ヒートショック対策だけでなく、長期的な光熱費の削減にもつながりやすいのが大きなメリットです。
- Q4. リフォームでもヒートショック対策はできますか?
- A. 可能です。ユニットバスへの交換、脱衣所や浴室の内窓設置、断熱改修、浴室暖房機の後付けなどで、家全体を建て替えなくても温度差を小さくできます。アップルホームでも、住まいの状態に合わせたリフォームのご相談を承っています。

断熱改修や浴室暖房の導入で、既存住宅でもヒートショック対策が可能です
まとめ|断熱性の高い家づくりでヒートショックの不安を減らす
ヒートショックは、冬の寒い浴室や脱衣所だけの問題ではなく、家全体の温度差や生活習慣、そして建物の断熱性とも深く関係しています。入浴時間帯や水分補給、浴室・脱衣所の予熱など、今日からできる対策もたくさんありますが、根本的には「冬でも家中の温度差が小さい住まい」を目指すことが、家族みんなの安心につながります。
新築の注文住宅なら、断熱性・気密性・窓の配置・水まわりの動線・全館空調や床暖房の有無など、設計段階からヒートショック対策を織り込むことができます。すでにお住まいの家でも、浴室や脱衣所まわりの断熱リフォームや設備の追加で、体への負担を減らすことは十分可能です。
アップルホームでは、自然素材を活かした家づくりとともに、高断熱・高気密 × 温度差の少ない間取りを両立したご提案を行っています。ヒートショックが気になっている方や、将来も安心して暮らせる家を検討したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
関連リンク
見学会や個別相談会では、実際の温度や空気感も体感していただけます。WEBからの来場予約も受付中ですので、お気軽にお申し込みください。
アップルホーム公式チャンネル
アップルホームの取り組みや展示場・モデルハウスの雰囲気を動画でご覧いただけます。
